このアルバムが発売された当時、日本の音楽雑誌にコットンの単独インタビュー記事が掲載されていた。その雑誌はもう手元に無いので確認する事は出来ないが、記憶の中で一つ印象が残っているのが「この作品の特色は?」みたいな質問に対して、「ミシシッピ・ブルースが良い音で聴ける(笑)」みたいに軽く答えていた。
軽く答えたが、そのハーモニカは深い。深いがいつものような暑苦しいエモーショナルさはない。パワーを少し抜いた感じで馴染みの曲たちを吹き流していく。現代の録音だから良い音は当然だが、それは別にしてもアコースティック・セット(ギターとベースのみ)のおかげで生ハーモニカが耳のそばまで近づいて良く聴こえる。
アルバムを全体的に染めているのは強烈なサニーボーイマナーだけど収録曲、最後の♠︎Everybody’s Fishin’ はビッグ・ウォルター・ホートンの得意曲。前述のインタビュー記事だったかどうかは忘れたが、「サニーボーイを聴いてない時はビッグウォルターを聴いている」というような要旨の文章を読んだことがある。そんな曲で締める。これも深い。
その作品群を何度となく聞き返してみても、やはりこのアルバムがいちばん好きだ。と言い切る。
今となっては#100% COTTON(1974)なんか、へでもない。売り払った。
深く深く、Deep In The Blues、深淵の世界
続く