THE PAUL BUTTERfIELD BLUES BAND
#Self Titled 1965

昭和時代のレコード、カセットテープ世代にとってL Pレコードの1曲目すなわちA面、B面の両サイド2曲というのは重要重大なポジションになります。

現在と比べて情報量が圧倒的に少なかった時代にテレビ、ラジオ以外で興味対象のそのアルバムの正体を知ろうとする時、数少ない手段はレコード屋さんで直接試聴させてもらうという方法が一番簡単でした。

この場合、私のような小心者は勇気を出し意を決し声を上げて、店主もしくはアルバイトらしき店員さんに「あの〜すみません、、このアルバムを試聴させて下さい、、すみません、、」と丁寧にお願いする事になります。

そしてA面B面のどちらかを希望する旨を伝え、店主もしくはアルバイトらしき店員さんの機嫌を損ねないうちにスピード感をもって試聴を済ますため出来れば1曲目でそのアルバムを好きになるか嫌いになるか、買うか買わないかを判断する事となります。

(もちろん、お店の繁閑ぐあい、自分のハートの強さ次第では片面もしくは両面、全曲を試聴するのも可能でした)

そしてバンドを含めたレコード制作者側も小心者の心中を読んでいるに違いありません。

だからL Pレコード両サイドのに、もっとも自信がある、そして小心者を屈服させるに充分な威力がある曲を配置してくるのだと勝手に想像しやがります。

そして本作品、このバンドのデビューアルバム。A面ド頭 1曲目。

心臓をノックする様なギターリフと共に電気化されたハーモニカが舞台の幕開けを高らかに宣言する。

続け様に、アイワズ ボーィン シィカァーゴォ♪

と歌い出された瞬間、小心者はすぐさま膝まずき、大いに感嘆し、いとも簡単に降伏の意を示して、心の中で小さく「買っちゃおう!」と呟くのでした。

さぁ、君も軍門に降れ。

□□□□ HARMONICA □□□□

このアルバムのハーモニカの聴き処はロックンロール史上とても著名な『BORN IN CHICAGO』と共に『I GOT MY MOJO WORKING』のハーモニカでしょう。

DVD化もされた1966年のカナダのCBCテレビ・セッションの同曲における JAMES COTTON のハーモニカの出来具合はヘリテージ・クラスだと個人的に思うのですが、それに迫り並び得るぐらい素晴らしい。

それに加えて SAM LAY の唄声とタイコ。これがまた素晴らしい。マディ以外ならばこの声しかないと思えるぐらいです。

もちろん著名な『BORN IN CHICAGO』のハーモニカソロも当然秀逸です。思い描けば童謡のように口ずさめるハーモニカフレーズなんて滅多にありません。

LITTLE WALTER の楽曲が3曲もありますがオリジナルに対してのアプローチは決して直接的ではなくて、とても独創的です。後発される LITTLE WALTER の風下に立つ事だけが目標の人達とは全く違って聞こえます。

続く